Archive for the ‘病院じゃなくクリニック’ Category

普段の生活の中では至るところで目にクリニックですが、いざ看護師の求人を探してみると意外なほどに見つからないように感じます。それはなぜなのでしょうか?

それは、施設の規模や診療内容から考えてもわかるように、1つのクリニックで必要とする看護師の数自体が圧倒的に少ないからです。事実、1日200人を超える外来患者を、医師1人と看護師2人で回しているようなクリニックも珍しくありません。そのようなところでは、即戦力として働ける看護師しか必要としませんし、欠員が出ることがわかったら数日の内に採用を決めて引き継ぎをしなければならないのです。

ですから、求人広告や求人誌、ハローワークなどタイムラグのあるようなところに求人が出るわけがありません。そのようなところは、看護師専門の人材紹介会社などに非公開案件として募集をかけ、条件に合った看護師だけを紹介してもらって採用を決める場合が多いのです。

また、クリニックには1つの診療科だけを専門としているところが多いため、患者からの質問に的確に答えられる知識と少ない人数でも対応できるだけのスキルを兼ね備えた看護師が必要です。そのため、看護師の資格さえ持っていれば誰でもよいというわけにいかない分、求人が表に出にくくなるわけです。

しかし、求人が見つからないのはただ単にそのためだけではありません。看護師側がクリニックの仕事というものをあまりにも理解しておらず、無理な条件ばかりを提示しているがために見つからないというケースも多々あるのです。つまり「クリニックは時間的な余裕があって楽だ」などという安易な考えで探すと、適当なところは見つらないということです。

例えば「クリニックは診療時間が終わったらすぐに帰れて、子どもの用事があったら休みを取りやすく、勉強会などはほとんどないから時間外の勤務はない」などと考えていては、その希望を100%叶えてくれるクリニックはほとんどないということです。

よく考えてみて下さい。クリニックは規模にもよりますが、それほどたくさんの看護師が在籍していません。そのため、代わりの看護師がいないのです。同僚が休んだらただ忙しくなるだけというくらいに考えておかなければなりません。特に夕方以降は学校帰りの学生や仕事帰りのビジネスマンなどの来院が増えるため、診療時間が終わってもすべての患者の診察が済むまで帰れないのです。

また、収入面の条件も「病院の時と同額以上で」などと考えると無理があります。夜勤がないのですから、その分下がって当たり前です。病院の時よりも下がったら困るという事であれば、夜勤や時間外の手当がいくらだったのかをきちんと計算して、それを引いた額で考えなければ見つかるわけがありません。

求人の多い少ない以上に、クリニックが希望するようなレベルの看護師が少ないことと、クリニックの仕事というものを理解せずに求人を探していることが、条件のよいクリニックの求人を見つけにくくしているとも言えるのです。

看護師の転職先として人気のクリニックですが、メリットばかりではありません。もちろん働く上でデメリットとなる部分もあります。

例えば、クリニックの雰囲気や居心地は院長の人柄にかかっているといっても過言ではなく、もし院長とそりが合わない場合は逃げ場がないという点がそれです。仮に院長とはうまくいっても、他のスタッフの中に合わない人がいると、人数が少ない分一緒に働く時間が長く仕事がしにくくなります。

また、重篤な患者は少ないものの、いろいろな疾患を持った患者が来院するため、幅広い知識が必要になります。医師の診察に対して、患者が何を理解できていないかを素早く判断し、わかりやすく補足説明しなければいけないからです。病棟勤務であれば、1人1人の患者と接する時間がそれなりにあるため、様々な話をしながら指導をすることができますが、外来の場合は、限られた時間の中で説明しなければなりません。

更に、クリニックで仕事をする際には、入院患者に対して必要な清拭、排尿介助、寝衣交換などは必要ありませんが、採血や注射、点滴などはスムーズにこなさなければいけませんし、常にどのようにすれば患者さんを順調に流せるかを考えながら行動しなければなりません。ですから、クリニックでは、病院勤務とは違う部分で看護師としての技量が試されます。

逆にあまりにも院長がしっかりしていて、すべて1人で完璧にこなしてしまうようなクリニックで働くと、看護師の仕事は診療の介助しかなくなってしまい、やりがいが感じられなくなるということもあります。

病院勤務は肉体的にかなりきつい部分がありますが、患者が入れ替われば病棟の雰囲気や忙しさが変わりますし、診療科や病棟の異動があれば人間関係も変わるというメリットがあります。しかし、クリニックにはそのような変化がありません。就職してから失敗したと感じても、その時点ではもうどこにも逃げ場がないというのが一番のデメリットでしょう。

もちろん、夜勤がなくなるために給与は下がりますし、大規模病院のような充実した福利厚生は望めません。その点もデメリットと言ってよいでしょう。

とにかく、一度病院勤務を辞めてクリニックで働いてしまうと、病院内で必要とされる技能は低下していくため、復帰は難しくなります。ですから、クリニックへの転職を決断する際も、転職先のクリニックを選ぶ際も、結婚相手を探すほどに慎重に行う必要があるのです。